| N は自然数全体と解釈して回答します。
先ず、自然数 x に対して、以下は命題ではありません。 A(x) := {x は平方数である} B(x) := {x は奇数個の約数をもつ}
命題とは数学的に真偽の定まる言明のことです。 A(x) や B(x) は、自然数 x の値が定まらない限り真偽が決まりませんので命題とは言えず、 これらは命題関数または条件と呼ばれます。
但し、以下は命題です。 A(1) := {1 は平方数である}・・・・・真である命題 A(2) := {2 は平方数である}・・・・・偽である命題
次に、自然数の約数の個数が偶数個か奇数個になる条件を調べます。 x = 1 の場合、約数は 1 の1個のみですので、約数は奇数個です。
x > 1 の場合、x は素因数を持ちます。 x の異なる素因数を p[1], p[2], ・・・, p[m] とし、各素因数の指数を e[1], e[2], ・・・, e[m] とします。 素因数分解は x = (p[1]^e[1])(p[2]^e[2])・・・(p[m]^e[m]) となります。 x の約数は (p[1]^f[1])(p[2]^f[2])・・・(p[m]^f[m]) という形になり、 k = 1, 2, ・・・, m として 0 ≦ f[k] ≦ e[k]、つまり f[k] は e[k]+1 通りの値をとりますので、 x の約数の個数は (e[1]+1)(e[2]+1)・・・(e[m]+1) となります。
x が平方数の場合、e[1], e[2], ・・・, e[m] は全て偶数であることが必要です。 つまり、(e[1]+1)(e[2]+1)・・・(e[m]+1) は奇数のみの積となり、約数は奇数個となります。
x が平方数でない場合、e[1], e[2], ・・・, e[m] は奇数を含みます。 つまり、(e[1]+1)(e[2]+1)・・・(e[m]+1) は偶数を含む積となり、約数は偶数個となります。
以上から、自然数 x に関して、 x が平方数であることと、x の約数が奇数個であることは同値である。 x が平方数でないことと、x の約数が偶数個であることは同値である。 ・・・と言えます。
(1) すべての平方数は、偶数個の約数をもつ 「任意の自然数 x について、x が平方数ならば、x は偶数個の約数をもつ」と同義なので、 (∀x∈N){A(x) ⇒ (¬B(x))}
(2) (∀x∈N){A(x) ∨ (¬B(x))} ¬B(x) := {「x は奇数個の約数をもつ」の否定} := {x は偶数個の約数をもつ} なので、上記論理式の解釈(?)は 「任意の自然数 x について、x は平方数である、または x は偶数個の約数をもつ」 となります。なので、同じ意味なのは a) ということになりますかね。
以下、蛇足です。
個人的には a) の「どちらか一方を満たす」という表現が引っかかります。 この問題の場合に限れば、如何なる自然数 x を選んでも A(x) と ¬B(x) の どちらか一方だけが真となり、他方は偽になります。 両方同時に真になることも、両方同時に偽になることもありません。 なので、排他的論理和として考えも差し支えありません。 繰り返しますが、これは A(x) と ¬B(x) が排他的な条件だからです。
論理演算子「∨」は包括的論理和の意味であり、A(x) ∨ (¬B(x)) は A(x) と ¬B(x) が両方同時に満たされても構わない訳です。 なので、解釈としては「少なくともどちらか一方を満たす」とする方がしっくりくる気がします。
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