任意の正方行列
A に対して
AE=EA=A
となる行列
E を単位行列という。
2行2列の正方行列の単位行列
E は,
E=(
1 0
0 1
)
3行3列の正方行列の単位行列
E は,
E=(
1 0
0 0
1 0
0
0 1
)
である。
【単位行列の導出】
2行2列の正方行列の単位行列
E を求める。単位行列の定義
AE=A
より,
A=(
a b
c d
)
,
E=(
p q
r s
)
とおくと,
( a
b
c d
)(
p
q r
s
)=(
a b
c
d )
となる。行列の積より,
(
ap+br
aq+bs
cp+dr
cq+ds
)=(
a
b c
d
)
と計算され,行列の各成分を比較することにより,連立方程式
{
ap+br=a
aq+bs=b
cp+dr=c
cq+ds=d
が得られる。この連立方程式を整理すると,
{
a( p−1
)+br=0 ⋯⋯(1)
aq+b(
s−1
)=0 ⋯⋯(2)
c(
p−1
)+dr=0 ⋯⋯(3)
cq+d(
s−1
)=0 ⋯⋯(4)
となる。
(1)×c−(3)×a
より,
r( bc−ad
)=0
この等式が任意の行列
A で成り立つためには,
r=0
でなければならない。(1)に
r=0
を代入すると,
a( p−1
)=0
この等式が任意の行列
A で成り立つためには,
p=1
でなければならない。
また,。
(2)×d−(4)×b
より,
q( ad−bc
)=0
この等式が任意の行列
A で成り立つためには,
q=0
でなければならない。(2)に
q=0
を代入すると,
b( s−1
)=0
この等式が任意の行列
A で成り立つためには,
s=1
でなければならない。
以上より,単位行列
E は
E=(
1 0
0 1
)
と導かれる。
EA=A
の場合も同様にして
E=(
1 0
0 1
)
を導くことができる。
【用語】
正方行列:行の数と列の数が等しい行列のこと
【関連ページ】
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数学C,行列の公式
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